NIジャパンブログ

【各号紹介】2017年12月号No.508「Clampdown! - Criminalizing dissent(異論封じ込めの弾圧に対するオルタナティブ)」



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いかにほど良いバランスをとっていくか。このことが難しい場合は少なくない。今月は、世界中で起こっている民主主義の権利に向けられた権力による攻撃を取り上げているが、このことについて世界は前向きになれない情報で埋め尽くされようとしている。

そんなあふれる情報とのバランスをとるためNIでは、これまでとは異なる(オルタナティブな)創造的な方法を用いた可能性があふれる政治的活動の事例を紹介すべく取材に取り組んだ。どうやらカタロニアは、その事例に完全に当てはまると言えそうだ[訳注]。カタロニアは、現在の独立をめぐる困難な闘いが最終的にどのような結果に終わろうとも、特に生活における経済的な面で急進的な民主主義のオルタナティブを立ち上げた実績を作った。

異議を申し立てる権利に対して国と企業が攻撃する事例が増加するにつれ、私たちの基本的な権利を守るための効果的な協働がますます重要になってきている。今月は、まさにそのような取り組みに対する応援歌として報告する。

訳注:本号掲載記事"Homage to Catalonia"で報告しているが、20世紀初めから自由への思いが強く住民の自主的な活動が盛んだったスペインのカタロニア州(州都はバルセロナ)では、早くから協同組合組織が結成され、農業、小売業、銀行、さらには工場、水道などの事業も広く行われてきた。また、協同組合だけでなく地域の人々が結束して問題解決にもあたってきた。近年では再生可能エネルギー事業を立ち上げたり、倒産した工場を買い取って地域住民議会で事業を運営したり、2008年の不動産バブル崩壊とその後の観光客急増で投機的に翻弄される不動産の安定化のための貸主組合の結成なども行われている。



It’s hard sometimes to get the balance right. When it comes to the subject of December’s Big Story on the authoritarian assault on democratic rights around the world, one is in danger of being swamped by negativity.

To balance, we sought out an example of a fertile political space with a record of creative alternative-building. Catalonia seemed to fit the bill perfectly. Whatever the ultimate results of the current independence struggle, Catalans have a proud record of building radical democratic alternatives especially in their economic lives.

As the number of examples of state and corporate assault on the right to dissent mount it becomes crucial to build effective coalitions to defend our basic rights. This issue of the magazine is a contribution to the effort to do just that.


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  1. 2018/01/12(金) 15:37:30|
  2. ≪各号≫紹介

【翻訳記事】血のしたたるヴィーガン向けハンバーグ


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この画像はイメージです


「血のしたたるビーフレスのビーフハンバーグ」。まるでドクター・スース[訳注:米国の絵本作家]が書いた一節のように思うかもしれない。だがこれは、シリコンバレーズ・インポッシブル・フーズ社の新しいヴィーガン[訳注:完全菜食主義者]食品を実際に説明した一節である。遺伝子組み換えタンパク質と植物由来の物質からできている「インポッシブル・バーガー」は、見た目、におい、味もまるで本物のようだ。

しかし、カナダの非営利団体ETCグループが情報公開法に基づき開示を求めて入手した文書を見ると、そのハンバーグの食品としての安全性には疑問符がつく。

ニューヨーク・タイムズ紙で明らかにされた米国の食品医薬品局(FDA)の文書には、そのハンバーグ風味の食品の主要原料(大豆レグヘモグロビン)に関するインポッシブル・フーズの主張が書かれているが、人間の食べ物としての安全性を確約してくれるものではなかった。

「こんなことを許すなんて、まったくとんでもないことです」と言うのは、米国の消費者団体であるコンシューマーズ・ユニオンの科学者、マイケル・ハンセンだ。「これまで人間の食料として使用されたことのない遺伝子組み換えタンパク質を、彼らは使用しているのです・・・。これは、[米国の]規制に不備があることを示しています」

FDAは懸念を表しているが、インポッシブル・バーガーは発売されている。このようなことになったのは、新しい原材料が食品に適しているかどうかを製造者が決められる「Generally Recognized as Safe(GRAS)」[訳注*]と呼ばれる非常に緩い規制のためだ。

インポッシブル・フーズの広報担当者は、「米国内の全ての食品安全規制に適合している」と語った。◆

by Yohann Koshy


訳注*:米国では食品への添加物は、意図する使用対象や方法において一般的に安全と認められない限り、FDAに申請して市販前承認を得る必要がある。しかし科学的な評価を実施し、その結果が安全と認められれば、GRAS(「一般的に安全と認められる」の意)として認められるという手順がとられていた。この手順では、企業から提出される科学的な検証結果をFDAの委託先機関が審査し、その結果に問題がないようであれば物質が安全であると見なしGRASと認めていた。しかし1997年FDAは、この申請プロセスをやめて通知だけで手続きが済むという規制案を提案した。これは、企業による申請とFDA側の審査というプロセスを廃止し、企業側で行った検証で企業側が安全と判断した物質をFDAに通知するだけでGRASを名乗れるようになった。この新しい手順は、試用期間を経て2016年8月17日から正式に施行されている。また、米国の消費者団体Consumeristの下記の報告によれば、この通知は必須ではないため、現在FDAに知らされてない物質が1,000種類以上食品に使用されているという。
When It Comes To Food, “Generally Recognized As Safe” May Not Mean What It Sounds Like


 

2017年11月号NI507 p7 Bleeding veggie burgers の翻訳です。c507_100.jpg





  1. 2018/01/04(木) 10:57:23|
  2. 健康・食・農業

【各号紹介】2017年11月号No.507「Humans vs robots(ロボットは人類に何をもたらすのか)」


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自動化について今日多くの人々は、押し寄せる津波のようだと表現する。

変化のペースはますます早くなり、私たちの仕事、プライバシー、そして統制という概念も影響を受け、テクノロジー優先の硬直した政策が約束されている。テクノロジーは従属的な役割というよりも、まるでそれ自体に権限が与えられ、私たちの生き方を決定していくようにしばしば感じられる。そして「我々はロボットだ」という言葉は、非常に皮肉な響きとなる。

このような時代に役立つ気づきは、技術自体ではなく、それを支配しようと張り合う者たちの動機が誤っているということだ。

張り合う企業が目的を隠して物事を決めるのであれば、私たちは自らの手で真剣に闘うことになる。


Today many would describe automation as a tsunami.

The pace of change is accelerating, affecting our jobs, privacy, notions of governance and, increasingly, promising a rigid technocratic future. At times, it seems like technology itself will dictate how we live, rather than playing a subordinate, enabling role. ‘We are the robots’ becomes a bitterly ironic refrain.

At such times it is useful to remind ourselves that it is not the tech that is at fault but the motives of those who jostle to control it.

And when it is corporate players setting the agenda, that means we have a serious fight on our hands.


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  1. 2017/12/31(日) 14:52:35|
  2. ≪各号≫紹介

【イベント報告】「知らなかった!アジアンコーヒー入門」

10月28日(土)に清澄白河の長専院にて、NGO 4団体(APLA、アーユス仏教国際協力ネットワーク、シャプラニール=市民による海外協力の会、パルシック)と共催でアジアのコーヒーとその生産地を紹介するイベントを行いました。


今回は、ラオス、ネパール、東ティモールのコーヒー生産者を支援する3団体が顔をそろえるという貴重な機会となり、早々に定員に達してキャンセル待ちが出るほどの人気でした。

▼いつもお世話になっている長専院さん。深川の出世不動尊としてその名前を聞いたことがあるかもしれません。
171103長専院

これまでのコーヒー講座では、講座概要と清澄白河の話(アーユス仏教国際協力ネットワーク)、コーヒーの全般的な話(NIジャパン)、現地の話(生産者を支援する参加NGO 1団体)という流れで、話は二十数名の参加者全員に向けて行ってきました。

今回は、生産者を支援するNGOが3団体参加していることもあり、講座概要と全体的な話の後はNIジャパンも含む4つのテーブル(1テーブル参加者5~6人)に分け、NGOと参加者がより近い距離で気軽に話ができるようなテーブルトークの形式にしました。1回の説明は40分で、それをグループ替えをして2回行ったので、参加者は2つの団体から話を聞くことができました。

▼まずコーヒーの全体的な話から。NIジャパンの諸より、「コーヒーは農産物である」「コーヒーは嗜好品である」ということを今日は念頭に話を聞いてほしいとの話がありました。そして駆け足でしたが、植物としての特徴、コーヒーの実の収穫から私たちのカップ一杯のコーヒーになるまでの流れ、生産国と農民の現状、コーヒーが抱える課題について、参加者全員に対して説明がありました。
171103全体

▼参加者アンケートには、生豆に触れられて良かったとの感想もありました。今回用意したサンプル豆は、下に別途写真を掲載したパーチメント付、ロブスタ、マンデリンを含む8種類(2種類の欠点豆含む)でした。
171103豆サンプル

▼今回珍しかったのはパーチメント付の生豆。写真は、パーチメント付の生豆(左)とそれを取り除いた生豆(右)。その上にあるのは取り除いたパーチメント。これはお米で言えば籾殻のようなもので、通常コーヒーの生豆は、パーチメントが取り除かれた状態で輸出されます。
171103パーチメント

▼全体的な話の後は各団体のテーブルに分かれての説明です。APLAはラオス、シャプラニール=市民による海外協力の会はネパール、パルシックは東ティモールと、それぞれ支援している国と生産者の説明をし、各産地のコーヒーの試飲も行いました。
171103各テーブル

▼NIジャパンのテーブルでは、普段ストレートで飲まれることはほぼないカネフォーラ種(ロブスタ)の豆とアラビカ種の豆の飲み比べをしながら、インドネシアの産地やコーヒー生産について、そしてもっぱらインスタントコーヒーや缶コーヒーなどに使われるロブスタの役割とその商業的な理由について説明し、コーヒーの味と嗜好について話をしました。この写真は今回使った豆で、ロブスタ(左)はジャバ島、マンデリン(右)はスマトラ島北部のトバ湖周辺で栽培されたものです。
171103ロブスタ

▼この2種類の豆をフレンチローストにして点滴ドリップでゆっくりと抽出して試飲。ロブスタも深く焙煎したせいか独特のロブスタ臭は多少和らぎ、参加者のみなさんもおいしいと飲んでいましたが、やはりその後味は口に広がり、マンデリンと比べると違いがはっきりと分かりました。
171103ドリップ


テーブルトークセッションを終え、全体での共有時間をとって終了。参加者の方々からは次のような感想をいただきました。(アンケートより抜粋)

・飲んだことのない産地のコーヒーを飲めたこと、新たな発見ができたので良かったです。
・今回知った国々に興味がわきました。
・アジアの各地のコーヒーを試飲でき、活動のストーリーを聞くことができて良かったです。
・生豆に触れられたのが良かった。特に欠点豆やパーチメント豆はほとんど見る機会がないので参考になりました。
・あまり国際協力等にかかわりがないので、話が聞けて良かったです。
・コーヒーのことだけではなく、いろいろな国の文化や課題が聞けて勉強になった。国際協力についてもとても興味深かった。
・コーヒーだけでなく、社会のことをいっぱい知ることができて収穫になりました。

身近なコーヒーという飲み物を入り口にして、生産国の多様性と現実、NGOの活動や国際協力についても理解を深める機会となったようで良かったです。




  1. 2017/11/03(金) 23:37:49|
  2. イベント報告

【翻訳記事】海洋管理のための水産事業


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米国のメイン湾からハッテラス岬にかけてのバターフィッシュ(エボダイに似たマナガツオ科の魚)漁は、2014年に回復した。(資料画像)
NOAA


欧米とアジアの大手水産企業は、乱獲防止、養殖の監視、漁業特有の奴隷労働に対して一緒に取り組むことを自ら初めて約束した。非倫理的、あるいは持続不可能なやり方での漁に関係する卸業者からは仕入れないようにすることは、今年6月の国連海洋会議で発表された「海洋管理のための水産事業(Seafood Business for Ocean Stewardship:SeaBos)」というイニシアチブによる取り組みのほんの一部にすぎない。このイニシアチブには、世界の漁獲量の11~16%を占める水産企業大手9社(その収益合計は300億ドルに上る)が参加している。

2017年9月号NI505 p9 A better catch の翻訳です。c505_100.jpg


NIJ補足:スウェーデンが中心となって始まったこのイニシアチブは、海洋資源の枯渇と海洋環境の悪化を防ぐため、企業の主体的な参加と取り組み、企業間の連携を促し、科学的な調査研究に基づきながら問題に取り組んでいくものである。参加企業をキーストーン・アクターと呼び、現在は10社。日本企業は当初から参加していたマルハニチロとニッスイ(日本水産)に加え、キョクヨー(極洋)の3社が参加している。この「キーストーン」が意味しているのは生態学におけるキーストーン種のことで、個体数の割には生態系に大きな影響を持っている生物種のことである。

第1回目のキーストーン・ダイアローグの声明(PDFファイル)
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  1. 2017/10/21(土) 07:26:53|
  2. 環境・資源
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