NIジャパンブログ

【翻訳記事】反抗の都市(スペイン)

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バルサローナ・アン・クムーの説明集会
Barcelona En ComúCC BY-NC-ND 2.0


市民が組織した大きな波が押し寄せ、急進的な市長たちがスペイン中で当選を果たしている。そしてその波は、他のヨーロッパ諸国、さらにはヨーロッパの外にまで広がっている。

そんな都市の中でも最もよく知られて注目されているのが、野心的な反抗の都市バルセロナである。市民のプラットフォームであるバルサローナ・アン・クムーが勝利したのが2015年。彼らは都市の主導権を握り、住居問題に取り組むフェミニストの活動家、アダ・クラウを市長の座に就けた。この連合体は、主要政党による腐敗政治と一線を画すため、市民議会を通じた運営を行い、完全なる透明性も確保している。彼らの政治の主な焦点は、都市への権利[訳注1]、社会経済と連帯経済の促進、共同利用地(コモンズ)の拡大、水道と電力事業の再公営化、移民への門戸開放だ。

このような市民プラットフォーム(社会運動家の仲介によって緩やかに結びついた市民と進歩的な政党から成る連合体)は、マドリッド、バレンシア、アコルーニャ、サラゴサなどいくつかのスペインの主要都市に加え、イビサや他のより小さな自治体においても主導権を握るようになった。

さらには、スペイン以外にもそれは広がり、率先して動き始める人々がヨーロッパのあちこちに現れた。そして米国では、女性とLGBT+の人々の権利を守るためや気候変動に関するパリ協定を支持するため、あるいは移民の権利を守るために、あちこちの都市が結束してトランプ大統領に対抗しているが、ここでも市民プラットフォームというトレンドが広まっている。

5月には、共和党の牙城であるミシシッピ州の州都ジャクソン市で、驚くべき自治体革命が起こった。市長選挙で圧倒的多数の人々が、急進的な黒人活動家のチョクウェ・アンタール・ルムンバ[訳注2]に投票したのだ。当選したルムンバはニュースサイト『In These Times』のインタビューで、「ジャクソンは、現行制度の犠牲となっている」と語った。「もし私たちがミシシッピで現状を変革できれば、それは世界の他の地域のモデルとして貢献し、希望となるだろう」◆

by クレア・フォーセット

訳注1:初版1969年の『都市への権利』(邦訳はちくま書房)で著者のフランスの哲学者アンリ・ルフェーヴルは、ビジネスや消費主義にまみれた都市を、そこに住む人々の手に取り戻すことを訴えている。

訳注2:チョクウェ・アンタール・ルムンバは弁護士でもある。彼の父親も弁護士、そしてジャクソン市の市議会議員だった。2013年に市長に当選したが2014年に病死。チョクウェ・アンタール・ルムンバは父親の意志を継いで2014年の市長選に出馬したが落選した。

ルムンバのインタビュー動画(Democracy Now)

『In These Times』のインタビュー記事


7/8月合併号NI504 p6 Fearless cities (Spain) の翻訳です。c504_100.jpg





  1. 2017/08/11(金) 11:52:00|
  2. 政治・国際関係

【翻訳記事】栄養をもたらすテント


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本記事のプロジェクトとは別の英国のNGO「カトリック海外開発機関(CAFOD)」が行うソーラーテントを使ったプロジェクト。
CAFOD Photo LibraryCC BY-NC-ND 2.0


ボリビア中央部の高地に住むケチュア民族の女性グループは、その土地の極端な気候にも負けず、「ソーラー・テント」を使ってなんとか自らの手で食料を生産し、家族の栄養改善に役立てている。家庭菜園の作物は、このビニールハウスのおかげで厳しい霜や慢性的な水不足から守られている。女性たちによれば、2年前に農村省が国連の支援を受けてプロジェクトを始めて以来、栄養不良の子どもはいなくなり、摂取カロリーは増加し、出費の節約にもつながっているとのことだ。

7/8月合併号NI504 p9 Nutritious tents の翻訳です。c504_100.jpg


このプロジェクトもボリビアの標高4000メートルを超える高地で行われており、そこで暮らす人々の現実は厳しい。参加者のひとりニカラノは言う。「普段食べ物があまりない時は、大麦のスープを食べています。大麦を挽いた粉に水を混ぜた物です。このスープしか食べ物がない日は、すぐに疲れてしまいます。時々野菜を買い、できるだけそれを長く持たせようとします。お金がない時はスープだけです」



  1. 2017/07/31(月) 22:16:00|
  2. 健康・食・農業

【翻訳記事】学校で廃品再生



動画はインターネットニュースサイトvocativより


廃品を再生して、学校や公共の場で役立つ備品などを作り出す。そんな方法を生徒たちに教えるプロジェクトが、セネガルで行われている。生徒たちはフランスのNGO「3000エコメン」と一緒に作業し、古タイヤにゴミを詰めてセメントを盛り、ベンチやその他の備品を製作した。この団体は、すでにこの方法で1万7,000トン以上の廃棄物をリサイクル済み。現在は、このプロジェクトをモロッコ、チュニジア、エチオピアでも実施するべく準備を進めている。

7/8月合併号NI504 p9 Rubbish school furnitureの翻訳です。c504_100.jpg



セネガルの学生たちが大学のキャンパスのテーブルとベンチを作る様子。非生物分解性のゴミと土を古タイヤに詰め、金網で包んでその上にセメントを盛っている。この大学では古タイヤ900本と60トンのゴミが使用され、400のテーブルとベンチに生まれ変わっている。



  1. 2017/07/25(火) 22:50:10|
  2. 子ども・教育

【各号紹介】2017年7/8月合併号「The Equality Effect(平等がもたらす効果)」


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人間は、誰しも人間として平等に扱ってほしいという願望を持っている。個人、あるいは集団的な特徴である国籍、出自、人種、性別、身体的特徴などにより差別され不平等に扱われれば、私たちの自尊心は傷つく。あまりにもひどい扱いを受ければ、その人個人を立ち直れなくしたり、あるいは大きな反発として暴力といった形で跳ね返ってきたりすることもあるだろう。

このような人間への差別とは別の基準ではあるが、無関係ではないのが経済的な平等だ。こちらの不平等は、資産や収入を基本として明確な形で存在し続けてきた。

一方でそれは、資本主義システムがもたらす「必要悪」であり、どうにもならないことであるという主張を私たちは聞かされてきた。完全なる経済的な平等を測る観点、そしてそれが達成可能かどうかにもさまざまな意見があるだろう。

今回7/8月合併号となるニュー・インターナショナリストでは、歴史上のこれまでの平等の状況を振り返りながら、経済的不平等が小さい方が社会や人々の生活にとってより良い状況をもたらすということや、不平等はどんな国、どんな歴史においても必然的なものではなく、不平等の度合いは拡大したり縮小したりしているということを検証する。そして、不平等を縮小してより平等に近づくようために、私たちが政府に対して何を訴えていけばいいのかを提言する。

2017年7/8月合併号「The Equality Effect(平等がもたらす効果)」目次へ 170630nijlogo.jpg




  1. 2017/07/20(木) 10:03:00|
  2. ≪各号≫紹介

【翻訳記事】排ガスをインクに

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デリー(インド)の大気汚染
Dave MorrisCC BY 2.0


シンガポールとインドを拠点とする技術系ベンチャー企業が資金を募り、大気汚染をインクに変える技術を開発した。この企業は、急成長を遂げるアジアの都市での大気汚染による死亡者を減らしたいと考えている。このグラビキー社は、「汚染物質を芸術のツールへと用途を変更する」ものだと説明する。これは、自動車や発電機のマフラーや排気パイプに取り付る装置によって、排出されるばい煙(すす)を回収するものだ。回収されたすすは、有害金属と発がん性物質が除去された後に炭素色素が抽出され、インクと塗料に生まれ変わる。

グラビキー社のサイト http://www.graviky.com

2017年6月号NI503 p9 Exhausting inkの翻訳です。c503_100.jpg



  1. 2017/07/05(水) 23:23:55|
  2. ビジネス・企業
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