NIジャパンブログ

【翻訳記事】気候変動危機で空港拡張工事が中止に(オーストリア)


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2008年3月号Ethical Travelの日本版「人と地球にやさしい旅へ ~ 観光インパクトと地球温暖化を考える」
この号でも航空機の気候変動への影響を取り上げ、出張や旅行に飛行機を使うべきか議論にもなった。
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気候変動の懸念によって、オーストリア最大の空港の拡張工事が阻止された。気候変動への懸念による公共インフラの中止は、世界初の出来事かもしれない。2月、オーストリア連邦行政裁判所は、ウィーン国際空港に3本目の滑走路を建設することによって生じる環境と数百ヘクタールの農地に与える打撃が、いかなる経済的利益をも上回る、という判決を下した。

裁判所は、2016年には乗客2,300万人以上が利用した空港に3本目の滑走路を建設することは、国内そして国際的な気候変動緩和義務に違反する可能性があると主張した。

キャンペーン活動家たちは、滑走路によって少なくとも35万人が直接的な騒音と大気汚染の被害を受けるだろうと言う。

米国の「気候変動ではなく制度の変更を」という環境団体は、「航空業は、健康被害、気候変動、自然破壊といった外部コストをすべて社会に押しつけているため、もうかるビジネスである」と述べている。

空港当局は、控訴する方針であることを発表している。◆

by エイミー・ホール


2017年5月号NI502 p9Climate 1, aviation 0 (Austria)の翻訳です。c502-100.jpg



  1. 2017/06/08(木) 22:42:18|
  2. 環境・資源

【翻訳記事】世界初のカーボン・ネガティブの国、ブータン


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ブータンのハ渓谷
Greenmnm69CC BY-SA 2.5


ヒマラヤの小国ブータンは、世界で初めてカーボン・ネガティブ[訳注:炭素の吸収量が排出量を上回ること]を達成する国となった。これは主に、72%という世界最大の森林被覆率がもたらしたものだ。この国の75万人の人々が排出する炭素は年間150万トンだが、吸収量は600万トンを超える。ブータンの憲法には、森林被覆率を60%以上に保つよう定められている。さらにこのエコ先進国は、2020年までに栽培する食料を100%有機栽培にし、2030年までに廃棄物をゼロにすることを目指している。◆


NIJ参考:森林による二酸化炭素の吸収量と炭素の固定量(林野庁ウェブサイト)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/20hakusho_h/all/h05.html


2017年4月号NI501p9 Bhutan goes negative の翻訳です。



  1. 2017/04/29(土) 13:12:12|
  2. 環境・資源

【翻訳記事】「水破産」は現実になるのか(イラン)


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イランの古い商都タブリーズのバザールで売られているピスタチオ
Adam JonesCC BY-SA 2.0


イランで原油に次ぐ輸出品はピスタチオである。しかし何年も続く干ばつで水不足となっており、ピスタチオ栽培農家の将来に暗雲が立ちこめている。

水危機は全国的に悪化している。イランの環境政策専門家カーヴェ・マダニは、イランは川や湖といった地表水を使いつくした上に地下水資源も70%減少し、「水破産」に直面していると述べる。

水不足の原因は、お粗末な管理、非効率な農業セクター、急激な人口増加であるが、現在状況は気候変動によって一層悪化している。イサ・カランタリ元農業大臣によれば、砂漠化によって早ければ2030年にはいくつかの州で人が住めなくなり、政府が緊急に行動を起こさなければ、すでに水が不足が起こり人口密度も高い地域に人々が移動する可能性がある。

イランが危機を乗り越える試みとして大きく頼っているのが、技術的な解決策である。政府は、干ばつが起こっている地方に脱塩化(海水の淡水化)した水を送る大規模なプロジェクトを計画している。

そんなプロジェクトには、カスピ海から水をくみ上げて460キロメートルの地下管路を通して町に送るというものや、4,700万人の飲料水を確保するためにペルシャ湾とオマーン湾から水を送るというものもある。

環境問題専門家は、このようなプロジェクトは生態系を破壊する可能性があると警告する。脱塩化プロセスからはブライン[訳注:濃縮塩水のことで、塩分濃度が高いだけでなく、もともと海水に含まれていた汚染物質も濃縮されてしまう]という廃棄物が生じるが、すでにいくつかの海水淡水化プロジェクトではそのブラインがペルシャ湾に排出されており、海洋生態系を変えたり地元漁民の生活にも脅威となっている。

マダニは、より持続可能な解決策は人々の節水を後押しすることだと考えている。

一方ピスタチオ栽培農家は、水不足の対策として革新的な方法を模索している。農民の多くは、栽培する作物の種類を多様化し、耕作地を縮小し、効率的なスプリンクラーや点滴かんがい技術などを取り入れている。◆

by リディア・ヌーン


2017年1/2月合併号NI499p6 Water bankruptcy looms (Iran) の翻訳です。c499-100.jpg



  1. 2017/01/29(日) 16:22:28|
  2. 環境・資源

【翻訳記事】鉱山開発による土地収奪と闘う人々(ビルマ)


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レパダウンの村人に立ち退きを迫る警察(その他の写真は下の名前部分をクリック)
Han Win Aung/Burma Partnership (CC BY-NC 2.0)


ビルマミャンマー)では、急速な経済発展と増加する外国資本の鉱山事業によって多くの農民が影響を受けている。トウェ・トウェ・ウィンは、そんなビルマの農民のひとりだ。2012年彼女の村では、中国の鉱山企業が行う事業に関する説明会があり、村人たちは当局から呼び出されて学校に集まった。当局側は、レパダウン鉱山開発のために収用された土地には市場価格以上の補償を行うことを約束し、鉱山の廃棄物を地元の農地に廃棄することはないと言った。

4年後、数百人の村人たちが強制立ち退きに遭っている。また、鉱山のために化学物質を製造する酸化物プラントが、村人十数世帯の家から50メートルあまりのところに姿を現した。平和に行われた鉱山反対の抗議活動に対し、警察は白リン弾[訳注]を使用し、150人を超える僧侶と村人たちが一生残る傷を負った。2016年に現地調査を行った人権団体「フロント・ライン・ディフェンダー」は、体の50%を超える部分に化学やけどの傷跡が残る複数の生存者に面会した。

トウェ・トウェは現在、鉱山企業と警察の過度な対応に抗議している。彼女によれば、警察はコミュニティーよりも鉱山を守っているという。だが抗議を行った結果、彼女は脅迫や嫌がらせを受け、逮捕されてしまった。しばしば国際的なニュースとして、ビルマ新政府が著名な人権活動家を首都ラングーン(ヤンゴン)の刑務所から釈放したことが報道されるが、地方の草の根活動家に対する弾圧が報道されることはほとんどない。

ビルマの指導者であるアウン・サン・スーチーは、政府の国内農業地域軽視という姿勢に沿った外交的対応を行っている。この8月スーチは北京を訪問し、中国がビルマに建設する34億ドルに上る水力発電ダム建設プロジェクトの交渉を再開させた。このダムは、環境破壊に対する抗議が拡大したため2011年に頓挫したプロジェクトだった。

国際的には、大半の人々はビルマの和平プロセスの行方に注目しており、数百万人が影響を受けている土地の権利の侵害は無視されている。EU(欧州連合)は和平プロセスに1億ドル以上を投入しているが、人権擁護活動家は、欧州のリーダーたちは民主化へのプロセスに含まれていない地方コミュニティーの支援に失敗している、と述べる。欧州委員会は6月のプレスリリースで、「土地の権利の強化[と]、土地の収用がもたらす不公正な苦しみにどう対応するのかが、新政府の正当性にとって非常に重要となる」と認めているが、この侵害を終わらせる計画案については触れていない。◆

by エリン・キルブライド(フロント・ライン・ディフェンダー)
https://www.frontlinedefenders.org

訳注:白リン弾は、煙幕の発生や焼夷弾として戦闘で使われるが、警察がデモの鎮圧に使うことはほとんどない。負傷者たちは、高温になる白リンによってやけどを負った。


2016年10月号NI496p6「Land defenders step up(BURMA)」の翻訳です。c496-100.jpg




  1. 2016/10/31(月) 23:21:46|
  2. 環境・資源

【翻訳記事】国際海底機構がすべきことは、海洋生態系の搾取ではなく保護である


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深海魚の一種、アオメエソ科の魚。



深海底というほとんど未知で脆弱な場所にとって、リスクのある産業向け実験がいかに危険なものなのか、先日開催された国際海底機構(ISA)会合においてきちんと検討されるべきであった。パイヤル・サンパットが報告する。


深海底採鉱というと、何やらSFめいて聞こえる。確かに、企業が主張するような深海底のコバルトリッチクラスト、マンガンノジュール、そして熱水噴出孔から金属を採取する技術の見通しは、現実よりもフィクションに基づく話のように思える。深海における実行可能な採掘技術はまだ確立されておらず、多くの企業と政府がその日が来ることを待ち望んでいる。

深海底採鉱には高いリスクが伴うが、実証実験が計画されているのは地球上で最もぜい弱で手つかずの場所だ。海、そこに住む生物、そして漁業に対して潜在的にどれほどの打撃となるのかもほとんど分かっていない。深海生物の多くは、研究どころかいまだに未発見なのだ。ドイツの科学者らが、全生物の祖先が深海底の熱水噴出孔に生息していたという研究結果を報告したのは、最近のことである。

今年7月ISAは、ジャマイカのキングストンで年次会合を開いた。誰もが考えるのは、ISAは国連海洋法条約の下で設立された国際機関ゆえに、全世界の共有財産である海と海洋生物の保護を一番の使命とする、ということだろう。しかし、これまでの現実は異なるものだった。

ISAはすでに太平洋の海底で150万平方キロにわたって26件の探査許可を出し、さらに追加で大西洋、インド洋、紅海にも探査海域を設定した。これらの追加海域では、毎月順次探査許可が下りているが、そこでの監督活動はほとんど行われておらず、またそのような広大で破壊的な産業活動が海洋生物、生態系システム、沿岸部コミュニテーにもたらす打撃についてもほとんど理解されていない。

ISAの役割は、海洋生物を守るべく注意深く監督し、予防的な原則を実行に移していくことだ。ISAは、企業や政府らが全世界の共有財産を使って実験をしたり、そこから利益をむさぼったりすることを許すわけにはいかない。ISAは、深海環境の研究、監視、保護を促進しなければならない立場にいるのである。

また、ニュージーランドが2015年に62万平方キロにおよぶカーマデック海洋保護区を設定したように、国際機関や各国は協力して深海保護区を設定すべきである。

ISAの使命とは、海洋の搾取方法の指南にあたることではなく、海洋保護の実施を行うことでなければならない。ISAの鉱業規則の中の採鉱規則草案は、危険な産業向け実証実験のために海洋を切り分けて与えるという内容ではなく、ISAの使命が具体的に盛りこまれたものでなければならないのだ。

by パイヤル・サンパット
Earthworksの鉱業プログラム責任者を務める。


NIブログの記事“Protect ocean ecosystems, not exploit them, is what the ISA must do”の翻訳です

翻訳協力:斉藤孝子


  1. 2016/08/28(日) 23:20:14|
  2. 環境・資源
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