NIジャパンブログ

【翻訳記事】栄養をもたらすテント


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本記事のプロジェクトとは別の英国のNGO「カトリック海外開発機関(CAFOD)」が行うソーラーテントを使ったプロジェクト。
CAFOD Photo LibraryCC BY-NC-ND 2.0


ボリビア中央部の高地に住むケチュア民族の女性グループは、その土地の極端な気候にも負けず、「ソーラー・テント」を使ってなんとか自らの手で食料を生産し、家族の栄養改善に役立てている。家庭菜園の作物は、このビニールハウスのおかげで厳しい霜や慢性的な水不足から守られている。女性たちによれば、2年前に農村省が国連の支援を受けてプロジェクトを始めて以来、栄養不良の子どもはいなくなり、摂取カロリーは増加し、出費の節約にもつながっているとのことだ。

7/8月合併号NI504 p9 Nutritious tents の翻訳です。c504_100.jpg


このプロジェクトもボリビアの標高4000メートルを超える高地で行われており、そこで暮らす人々の現実は厳しい。参加者のひとりニカラノは言う。「普段食べ物があまりない時は、大麦のスープを食べています。大麦を挽いた粉に水を混ぜた物です。このスープしか食べ物がない日は、すぐに疲れてしまいます。時々野菜を買い、できるだけそれを長く持たせようとします。お金がない時はスープだけです」



  1. 2017/07/31(月) 22:16:00|
  2. 健康・食・農業

【翻訳記事】ミツバチにやさしい農業でより健やかな未来へ


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(画像をクリックするとNIの英語記事のページが開きます)


 送粉者(受粉媒介者)が元気で作物が豊かに実るよう取り組むイタリアの有機農家

ジョルジォ・バラカニは、朝の光と花々の香りを追いかけながらひと晩中運転してきた。他の養蜂家たちと会うためにサービスエリアに少しだけ立ち寄り、黄色いヒマワリ畑と青い海がまだら模様に見える丘へと向かう。

バラカニが向かう丘は、ローマから300キロのマルツォッカの近くにある。彼は24年以上にわたり、転地養蜂[訳注:蜜源の開花時期に合わせて移動しながら行う養蜂]を営んできた。350個の巣箱を所有し、作物が花をつける時期に農家に巣箱を20日間ほど貸し出し、巣箱1個あたり平均32ユーロ(35ドル)を稼ぐ。

バラカニは、夜の間に巣箱数箱を小型トラックに積み、畑に運ぶ。農民たちは、果樹や野菜の花が咲く時期になると授粉を依頼する。それが、作物の品質と収量の向上を促すのだ。このことは、果物と野菜の2015年の売り上げが前年比で野菜5%以上、果物3%以上増加した(イタリア全国農業者連盟の統計による)国にとって、大きな意味を持つ。

転地養蜂は、いろいろな種類のはちみつを生産したいという思いから生まれたが、やがて作物の改良やミツバチの命を守る目的で行われるようになった。バラカニは、2008年にイタリアでミツバチが大量死したことを説明した。ハチは、使用された農薬の中でも特にタネ用トウモロコシに使われたネオニコチノイド系農薬によって方角が分からなくなり、帰巣ルートが見つけられず、最後には死んでしまったのだという。これを受け政府は、予防的措置としてこれらの物質を禁止し、この問題について調査を始めた。

「アペネット・アンド・ビーネットという国のプログラムでとられた措置の結果、問題は減ってきています」と言うのは、ボローニャ大学の昆虫学者で、このプログラムの責任者のひとりでもあるクローディオ・ポリーニだ。しかし欧州食品安全機関(EFSA)のアニエス・ロータイスは、この程度の減少では不十分だ、と説明する。「ハチの死因は複数あり、その影響は場所や季節によってさまざまです」。彼は死因について、「化学的栄養的な状態、気候変動、病気、不適切な養蜂法、環境資源の不足」などがあると言う。

イタリアのはちみつの生産量は、2011年から70%近くの減少となり、イタリア全国養蜂家委員会(Conapi)は警鐘を鳴らす。ハチという送粉者にとって深刻な痛手となったのは、広大な土地に1種類の作物だけを栽培する単一作物栽培の導入だ。

単一作物栽培はハチには適さない、と説明するのは、「生物多様性のためのスローフード協会」のセレナ・ミラノだ。ハチは、その免疫システム維持のために異なる種類の花粉を食べる必要がある。バラカニが小型トラックで移動するイタリア中央部のポー平原は、残念ながらトウモロコシ、小麦、人参、タマネギ、アルファルファなどの単一作物の畑で埋め尽くされているような場所だ。 しかし、地域の複数の作物の生産性を上げるには、混合栽培農業を行い、転地養蜂を継続していくことが不可欠だ。

ジョルジォ・バラカニのストーリーをマンガで読む(ISSUUのサイトへ)


 アルプスからの景色

世界で初めて住民投票によって農薬の使用禁止を決めたマレの町の話をヨハネス・フラグナーが語っている時、教会の鐘が高らかに鳴り響いた。フラグナーは薬剤師で、スイスから10キロ、オーストリアから20キロに位置するこの小さなアルプスの町の中心部に住み、そこで働いている。この町は、ヨーロッパでも果物生産に力を入れている最大の地域のひとつだ。だが、マッレスの住民たちは、町の景色の中にりんごの木一色の場所が現れるような集約農業を望まなかった。

フラグナーは、2014年の住民投票実施を呼びかけた住民のひとりだ。 住民の4分の3が投票し、そのうちの76%が農薬不使用の町に暮らすという選択に票を投じた。「この考えは2010年に生まれました。地元の有機栽培農家たちは、近隣の畑で使用された農薬で汚染された草が風で飛んできて、それを飼っている牛たちが食べるのではないかと不安を感じていました」とウルリッヒ・ベイス町長は語る。 投票後、住民の意思を反映して条例が変更された。違反者には300〜3,000ユーロ(325〜3,250ドル)の罰金が課される。

参考記事:Little insects, big impact. How Indian farmers are improving productivity, and lives, by introducing bee hives to their fields.(小さな昆虫、大きな影響。ハチの巣箱を畑に置くことで、インドの農民たちはいかにして生産性と生活を改善しているのか。)

農業に許された選択肢は、将来の生物多様性を尊重すること以外になく、ミツバチはそれに不可欠な指標であることを、フラグナーと仲間の住民たちは十分に理解している。「送粉者の働きがなければ、食物連鎖の重要な部分が失われることになるかもしれない。そうなれば、私たちの食生活に影響するでしょう」と語るのは、全国イタリア養蜂家組合協会(Unaapi)会長のフランチェスコ・パネラだ。 「ミツバチは、将来の食料生産を約束してくれます。しかし、私たちはより持続可能な農業モデルを構築する必要があります」。この方向性は科学界も支持する。「食料は命と同じように考えるべきであり、危険物質であってはなりません」と言うのは、腫瘍専門医で、農薬が人間に与える影響の研究も行っている「環境のための国際医師協会(ISDEイタリア)」メンバーでもあるパトリツィア・ジェニリーニだ。「農薬購入1ドルに対し、その影響に対応するための衛生と社会的なコストとしてさらに2ドルが必要です」

マッレスは、環境にやさしい農業の道を進んでおり、他の地域もその道を歩み始めている。フランスでは今年、ネオニコチノイド禁止を目的に生物多様性に関する法律の改正が承認された。それは、2018年に施行される。

ヨハネス・フラグナーのストーリーをマンガで読む(ISSUUのサイトへ)

翻訳:セシリア・ガルシア


Hunger4Beesは、ヨーロッパ・ジャーナリズム・センターの「開発報道におけるイノベーション助成プログラム」(ジャーナリズム助成プログラム)との共同プロジェクトである。

by ダニエラ・フレチェロウ、モニカ・ペリッチャ、アデリーナ・ザーレンガ


NIブログ記事A bee-friendly path to a healthier future の翻訳です。


翻訳協力:斉藤孝子


  1. 2017/02/27(月) 23:16:27|
  2. 健康・食・農業

【PDF版】2016年6月号「エボラ後のシエラレオネ」Keynote(メイン記事)をアップ


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クリックして閲覧サイトへ


1976年に発見されたエボラ出血熱。2013年までに20回以上の流行が起こりましたが、そのいずれもが3カ月以内に終息しました。

しかし、2014年から2015年にかけてシエラレオネ、ギニア、リベリアで起こった流行はこれまでとは次元の違うものでした。

特にシエラレオネでは1万4,000人以上が感染し、そのうち4,000人弱の人々が命を落としました。そして回復して生き延びた人々の中には後遺症に悩む人も少なくなく、また社会もエボラの流行によって大きなダメージを受けました。

今回なぜこれほどの流行になってしまったのか? 感染が拡大する前にもっと早く封じ込めることはできなかったのか? 人々はどのように生き延び、今どんな生活を送り、次の万が一の出来事にどう備えているのか?

今号は、NIの共同編集長のヘーゼル・ヒーリーがシエラレオネを訪れ、現地の市民リポーターの協力を得て制作しました。市民リポーターは、現地市民の情報発信活動を支援する英国のNGO「On Our Radar」にトレーニングを受けた人々です。

今回人々の事細かな体験と感情を誌上で紹介できているのは、市民リポーターの活躍のおかげです。Keynoteでもその一部を紹介しています。

Keynoteの英語版は、こちらのNIのウェブサイトで読むことができます。


※2016年6月号NI493 c493-100.jpg




  1. 2016/07/18(月) 21:07:32|
  2. 健康・食・農業

【翻訳EEW】クイズ ― 6月号「エボラ後のシエラレオネ」より


eewEbolaクイズ


※NIの英語をシンプルな形でさまざまな教材として紹介し、英語を学んでいる人、教えている人に使えるリソースを提供するNew Internationalist Easier English Wiki。このNI EEWより、エボラに関するクイズを日本語で紹介します。


最近、エボラについて何か耳にしましたか? エボラについてどのくらいのことを知っていますか? ちょっとしたクイズに挑戦してみてください:

1.最もエボラの影響を受けた3つの国とは?
a) シエラレオネ、リベリア、コートジボアール
b) ガーナ、ギニア、セネガル
c) ギニア、リベリア、シエラレオネ

2.その3カ国がエボラによって被った経済的な損失はどのくらい?
a) 30億~40億ドル
b) 300万~400万ドル
c) 3万~4万ドル

3.アフリカでのエボラによる死者数は?
a) 1万8,000人
b) 1万1,000人
c) 7,000人

4.アフリカ以外でのエボラによる死者数は?
a) 15人
b) 150人
c) 1500人

5.エボラ流行(2014-2015年)最後の新規感染者が出たのはいつ?
a) 2015年1月
b) 2015年8月
c) 2015年11月

6. 英国では、国民10万人あたりの医師数は280人ですが、シエラレオネでは何人でしょうか?

a) 2人
b) 20人
c) 200人

答えは、こちらのページのインフォグラフィックス(英語)を読んで、見て、探してください。

正解は、メールマガジン7月号のブログ記事アップデートに掲載します。メルマガ登録はこちらからどうぞ。


  1. 2016/06/17(金) 01:17:21|
  2. 健康・食・農業

【翻訳記事】「歓迎されるのは遺伝子組み換え支持者だけ ― 国連食糧農業機関の企業フェスタ」

今年2月、国連食糧農業機関(FAO)は、バイオテクノロジーに関する会議をひっそりと開催した。メディアは注目しなかったが、「持続可能な食料システムと栄養における農業バイオテクノロジーの役割」と題したシンポジウムは、100を超える市民団体から非難を浴びた。(1)

その理由は、食料の将来に関して企業が進めるインチキな対応策(農業に関する西洋的な開発観念によってすでに汚染されていた)を支持する方策と見られたからだ。対応策では、気候変動に強い作物、収量が多く栄養価が高い改善された食料といったものが、マジョリティー・ワールド[訳注:世界の過半数の人々が暮らす開発途上国]にとってのバイオテクノロジーのバラ色の未来として示されている。

しかし、これに賛成する人々が目を向けていないことがある。それは、バイオテクノロジー作物が、企業合併で一層の権力集中を進める一握りの多国籍企業によって完全に支配されているということだ。企業が進めるのは、世界の小規模農家の現実にとっては持続不可能な農業の産業化と大量の殺虫剤の使用を必須とするモデルである。またこれは、単一作物栽培によって最終的には生物多様性を増加させるのではなくむしろ減少させてしまう。

ビル・ゲイツ[訳注:マイクロソフト社の共同創設者]の財団は、遺伝子組み換え作物研究への世界最大の資金提供者で、南の国々の農業に対しては世界で5番目の資金提供者である。そして彼のようなフィランソロキャピタリスト[訳注:これは、社会奉仕活動や慈善事業を熱心に行う篤志家を意味するphilanthropistと、資本主義者を意味すするcapitalistとを組み合わせた造語である]は、上述したような企業による「解決策」を好む。(2) では、FAOはどうか?

すでにFAOの本心はあらわになっていた。前回2010年にFAOがメキシコで開催したバイオテクノロジーの会議では、FAOは農民たちの組織委員会加入を妨げ、会議に参加させないようにしようと動いてさえいたのだ。

今回の会議では、遺伝子組み換え生物に批判的な参加者は、パネルディスカッションのゲストとして招聘された1人だけだった。主要講演者2人のうち1人は、物議をかもしているターミネーター種子(このタネから育った作物から採れたタネは収穫時には死んだ状態となるよう操作されているため、農民は毎年タネを購入しなければならない)の熱烈な支持者である。

地元コミュニティーが運営管理する食料システムを支援する団体GRAINのヘンク・ホブリンクは、FAOは優先順位を正しく修正する必要があると考えている。「FAOは、なぜ自らの対応を企業のバイオテクノロジーだけに限定し、小規模農民たちの技術の存在を否定するのでしょうか?」と彼は問いかける。「FAOは、企業にバイオテクノロジーによる対策を推進させるよりも、世界に十分な食料を配分するとともに地球を冷やすための方法として、農業生態系と食料主権を追求するべきです」◆

ディンヤール・ゴドレイ

(1) JOINT SIGN-ON STATEMENT, FAO Symposium on Biotechnology: The biotechnology industry runs the show (PDF)
(2) Global Justice Now, Gated Development, January 2016(PDF)



※2016年5月号NI492p18「Only GM-friendly guests welcome at FAO's corporate-fest」の翻訳です。c492-100.jpg

  1. 2016/05/30(月) 01:27:36|
  2. 健康・食・農業
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