NIジャパンブログ

【翻訳記事】「世界的な難民危機 ― その事実」

本記事の完全版(英語)はUKサイトで閲覧できます
(データは本ブログ記事よりもアップデートされています)
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●交戦中の世界(1) ― 人々はどこからやって来るのか

いくつかの国(特にシリア)における戦争、高まる危険、人権への懸念は、世界的な亡命希望者と難民の激増の主な要因となっている。

難民の出身国トップ10
シリア
アフガニスタン
ソマリア
(この上位3カ国だけで53%を占める)
スーダン
南スーダン
コンゴ民主共和国
ミャンマー
中央アフリカ共和国
イラク
エリトリア

アフリカ、中東、アジア、ヨーロッパにおける戦争によって、2014年に移住を余儀なくされた人々は1,400万人近くに膨れ上った。

◎到着した難民の一例
(記載ないものは2014年のデータ)
・11万6,000人の中央アフリカ共和国人がチャドへ
・17万人の難民がスウェーデンへ 2015年末時点(2)
・25万2,000人の南スーダン人がエチオピアへ
・27万1,000人のウクライナ人がロシアへ
・28万3,000人のパキスタン人がアフガニスタン
・80万人の難民がドイツへ 2015年末時点

●それは先進国ではない(1) ― 人々が向かう先は?

ほとんどの難民が保護を求めて向かうのは、先進工業国ではない。10人のうち9人近くは、近隣の国々に一時避難先を見つける。また一方で、それよりも多くの人々が各国内で避難民となっている。

紛争によって住まいを追われた人々の数(2014年)
世界合計5,950万人
 難民:1,950万人
  86%は開発途上国が受け入れている
  42%は国民1人あたりのGDP(国内総生産)5,000ドル以下の国々が受け入れている
 国内避難民:3,820万人
 亡命申請中:180万人

◎2015年の受け入れ上位6カ国(5)
トルコ   220万人
パキスタン 151万人
レバノン  120万人
イラン    98万2,000人
エチオピア  70万2,500人
ヨルダン   66万4,1000人

◎次のたった5カ国でシリア人難民の95%を受け入れている。
トルコ
レバノン
ヨルダン
イラク
エジプト

◎次のたった2カ国でアフガニスタン人難民の95%を受け入れている。
パキスタン
イラン

●安らぎの場所になるとは限らない

亡命者としての受け入れを求める人々が、苦難を乗り越え安全な国に到着したとしても、認定を得られる保証はない。

◎2014年の欧州連合(EU)への亡命申請数(3)
 申請:57万人
 認定:18万4,665人*
*亡命認定までには長い時間が必要で、このうちの多くが前年あるいはそれよりも前に申請していた可能性がある。

●安全を求めて ― 人々はなぜ移動するのか

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の資金不足は慢性化している。食料の配給が減少、あるいはなくなり、教育の機会は失われ、人々は自前でなんとかせざるを得なくなっている。

◎UNHCRの資金不足と援助対象難民数(%は必要額のうちの不足した割合)
2010年:36% 3,390万人
2011年:37% 3,540万人
2012年:39% 3,580万人
2013年:39% 4,290万人
2014年:45% 5,490万人

◎優先順位への疑問
・2015年の国連の緊急援助予算の不足額合計(4)(5)
 →103億ドル:2015年の国連の緊急人道援助予算の不足額
・100億ドル:米国がシリアのIS(イスラム国)の空爆に費やす1年間のコスト

出典:
(1) World at War, UNHCR Global Trends in 2014.(PDF)
(2) "Sweden introduces border checks as refugee crisis grows " The Guardian
(3) "Migrant crisis: Migration to Europe explained in seven charts" BBC Europe
(4) UNOCHA Financial Tracking Service
(5) "Up to 10 former HBOS executives could be banned over collapse, damning report finds" The Telegraph
(6) UNHCR Mid Year Trends 2015.

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※2016年1/2月合併号NI489 p9「An Act without action(Kenya)」の翻訳

  1. 2016/03/09(水) 22:55:29|
  2. 暴力・平和・人権
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【翻訳記事】「実践がともなわない法律(ケニア)」

ダニエル・イルングと彼の友人のジョン・ンデグワは、毎晩一緒に中古の靴を集め、会社員が帰宅してしまうまでに商品が売れることを期待し、ナイロビ中心部のビジネス街に向かう。その時間帯に1足も靴が売れなければ真夜中過ぎまで街で売り歩き、帰宅して次の日の夜に再び街に出て来られる程度のお金が集まるのを待つ。

だが最も心配なことは、靴が売れるかどうかではない。アスカリス(地域の取締機関)に捕まって留置場に一晩収容され罰金をとられることである。

「私たちはとても大きなリスクを抱えています」と3人の子どもの父親であるイルングは言う。「アスカリスはならず者のようなやり方で仕事をし、路上の商売人たちはしばしばけがをします。逮捕をする途中で死んでしまった人もいました」

2012年ケニアでは、建前上はダニエル・イルングのような人々を守るための小規模企業(SME)法ができた。この法律は、小規模な商売人とそのビジネスを認め、彼らが守られ適切な環境でビジネスができるよう定めたものである。そしてまた、登録事務所の開設、SME局による業界への規制と資金提供、商売人と地域行政間でのトラブル解決のための仲裁機関の設置を規定している。

ではなぜ、路上の商売人たちは逮捕されたり追い立てられたりするのだろうか? ケニア・ナショナル・ストリート・ベンダーズ&インフォーマル・トレーダーズ(KENASVIT)の全国コーディネーターであるフランシス・カペラによれば、SME局は設置されたとはいえ資金不足に陥っており、それが「この業界に役立つように働けない理由」とのことだ。

「SME法の中身は良いが、施行して3年たっても何も実施されていません。私たちへの融資は実施されておらず、商売をする場所や設備の整備も実施されておらず、嫌がらせは続いています。実質的には法律が存在しないのと同じことなのです」とカペラは嘆いた。

by Maina Waruru

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※2016年1/2月合併号NI489 p9「An Act without action(Kenya)」の翻訳

  1. 2016/03/09(水) 22:43:52|
  2. 貧困・格差
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【翻訳記事】「完全菜食主義のベーカリーがオープン(パレスチナ)」

何十年にもわたる軍事的占領に苦しむパレスチナ人は、鳥や四足の動物の友人たちを支配することは許されるのかもしれない。しかしケールド・サフィは、町で初めてとなるビーガン(完全菜食主義)のベーカリーをラマラのジャラゾーン難民キャンプに開店し、政治的緊張と文化的規範に挑戦状をたたきつけた。

ケールドがひと味違うパレスチナのパンを販売することを思いついたのは、彼の兄弟でパレスチナ動物連盟(PAL)代表を努めるアハメド・サフィの影響だ。

「パレスチナ以外ではあまり知られていませんが、私たちの伝統的な食べ物の多くはビーガンです」とケールドは言う。このベーカリーでは、動物由来の素材を豆乳や植物マーガリンに置き換え、この店がビーガンに関する議論と教育の場になることを目指している。開店までにはいくつもの困難があった。例えば、ビーガンの素材は通常イスラエルからの輸入である。「私たちの土地と人々の支配の正当化につながるような素材は、使いたくありませんでした。そのため、ビーガンの食べ物を提供するという目的を果たせない可能性もありました」。ケールは続けた。「難しかったのは、私たちの手が届くエシカル(倫理的)な原材料からできている代替物を見つけることでした」

「パレスチナと言えば、政治闘争を思い浮かべる人がほとんどでしょう」とアハメドは補足した。しかし、300人強のボランティアたちとともに働くこのPALの代表は、パレスチナ人は動物を大切にしていると言う。「私たちは、パレスチナの動物の保護に対する関心がより高まる中で、引き続き適切な対応を行っていきます」

by Lydia Noon
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※2016年1/2月合併号NI489 p7「Going vegan(Palestine)」の翻訳

  1. 2016/03/09(水) 00:01:52|
  2. 健康・食・農業
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