NIジャパンブログ

【翻訳記事】武器取引とイエメン空爆

モカマタリ 2016年1月に都内の輸入食料品店に掲示されていたお知らせ


サウジアラビアは、長い間兵器システムに多額の資金をつぎ込んできたが、それを使用することはほとんどなかった。湾岸戦争(1990~91年)では、サウジ軍は自軍のほとんどのハイテク兵器の使い方を分かっていないという報道もあった。

しかしそれも変わった。2015年3月、スンニ(スンナ)派の有志連合は、イエメンの首都サヌアを支配した反政府勢力フーシー派[訳注:イスラム教シーア派。イエメン政府とサウジ政府はスンニ派が権力を握る]をたたきつぶすべく激しい空爆を開始した。

イエメンの人々の被害は甚大である。

【これまでの被害】
・国連によれば、2015年には5,700人以上が殺されたが、およそその半分が民間人であった。(1)
・市場、工場、民家、学校、保健医療施設も攻撃対象となった。その中には、NGOの国境なき医師団が運営する病院やオックスファムが支援した学校も含まれている。(2)
・サウジは空爆で、国際条約で禁止されているクラスター爆弾を使用した。(3)
・2015年12月までに、150万人のイエメン人が国内で避難を余儀なくされ、人口の3分の1近くにあたる760万人以上が食料支援を必要とする深刻な状態に陥った。この主な原因は、集中的な爆撃とサウジによる封鎖によって、イエメンに不可欠な物資の供給が滞っているためである。(1)

【ぬれ手にアワ】
イエメン空爆はサウジの兵器取引先にとって大もうけの機会となっている。

主要取引先は英国(サウジの武器貿易の36%を占める)、米国(35%)、フランス(5%)だ。(4) カナダは、もうけの大きな15億ドルの軽装甲機動車の売却契約を結んだ。(5)

2010年から2014年の間にサウジアラビアが購入した武器は、2005年から2009年の間の4倍に上っている。(4) 2014年、サウジアラビアは世界最大の武器購入国となった。

2010年5月から2015年5月の間に、英国政府は約83億ドルの武器売却に許可を出した。それには、ホーク攻撃機とタイフーン戦闘機、自動小銃、催涙ガス、爆弾ユニット、軍用車両、照準装置などが含まれる。(6)

2015年3月にイエメン空爆がエスカレートし、サウジアラビアへの武器売却もふくれあがっていった。

・2015年7月英国は、英空軍用として保管していた2億3,400万ドル相当のペイブウェイIV精密誘導爆弾(500ポンド)をサウジアラビアに移転(輸送)した。(7)
・英国は2015年3月から9月までの間に、サウジアラビアに対する37の兵器輸出に移転許可を出した。(8)
・10月米国は、サウジアラビアとの間でロッキード・マーティン社製戦闘艦(最高で4隻まで)に対する112.5億ドルの取引を承認した。これには兵器、訓練、輸送支援も含まれている。(9)
・11月米国国務省は、レーザー誘導爆弾や「一般用途」の爆弾と誘導システムを含む12.9億ドル相当の空対地兵器の売却を許可した。(10)

これらの武器売却への賛同をとりつけるために議会と国民に示された理由は、サウジアラビアが「テロ対策」で使い切ってしまった在庫を補充するため、というものだった。

【抗議】
人権キャンペーン活動家やその他の人々も憤っている。米国ではNGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が、サウジアラビアへの爆弾売却を否決するよう議会に呼びかけている。

「米国は、イエメンの民間人を多数殺害しているサウジ主導有志連合の無差別攻撃を十分認識しています」。こう述べるのは、HRWのジョー・ストーク広報官だ。「サウジにさらに爆弾を提供するという行為は、もっと多くの民間人の死者を出すことにつながります。米国はこの責任の一端を負うことになります」(10)

サウジアラビアに売却された英国製ミサイルが、国際法に違反して民間目標の攻撃に使われたことが分かり、アムネスティ・インターナショナルは、これ以上の航空機用弾薬の売却を停止するよう呼びかけた。(11)

英国でも有数の弁護士であるフィリペ・サンズ、アンドリュー・クラッパム、ブリンネ・ニ・ガラレイが調査を行った結果、英国がサウジアラビアにイエメンで使用する武器を供給することで、英国は国内法、EU(欧州連合)法、そして国際法にも違反しているという結論が出た。(12)

そしてまた、武器貿易反対キャンペーン英国のアンドリュー・スミスは次のように述べる。

「その政権に対するすべての武器の禁輸措置を即座に行い、思慮を欠いた政治的支援もやめる必要があります。最終的に英国政府がもうたくさんだと言う前に、あと何人が拷問され、殺されることになるのでしょうか?」

英国の人々は禁輸に賛成のようだ。英国の調査会社Opinium LLPによれば、成人の62%はサウジアラビアへの武器売却に反対で、支持しているのはたった16%である。(13)


出典:
(1) Al Jazeera
(2) trunews.com
(3) The Guardian
(4) SIPRI
(5) Middle East Eye
(6) CAAT
(7) Defense News
(8) The Guardian
(9) RT
(10) Human Rights Watch
(11) Amnesty International
(12) Amnesty International
(13) CAAT

2016年3月号NI490 p15「Arming up... and bombing Yemen」の翻訳
英文はUKサイトに掲載

  1. 2016/03/19(土) 22:50:20|
  2. 暴力・平和・人権
  3. | トラックバック:0