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【特集紹介】2017年4月号「Populism rises again(ポピュリズムの再来)」


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ポピュリズムとは、日本語では人民主義や大衆主義と訳される。それは、政治エリートではなく大衆の声を代弁し、大衆が欲するものを与える政治、などと言われる。ただ、本当に与えようとしているのか、単なるポーズなのかは、また別の話である。

オランダの政治学者キャス・ムッド(現在は米国ジョージア大学公共政策・国際関係学部准教授)は、ポピュリズムは、資本主義や社会主義などとは異なる厚みのないイデオロギー(thin ideology)であり、社会を庶民と腐敗したエリートという2つのグループがにらみ合うものととらえ、その政治は庶民の全体的な声を代弁するものである、と述べる。

ポピュリストと言われる今月号の表紙を飾った政治家たちを眺め、彼らに共通する点として何が思い浮かぶだろうか。際立つキャラクター、歯に衣着せぬ物言い、移民やマイノリティーなど社会的弱者への厳しい対応、人権や法よりも優先される自らの考えや価値観、合議よりも独断、融和でなく分断で支配…。

確かに、厚みのないイデオロギーをよりどころとするポピュリストたちを見ていると、社会を長期的に見たり、大局的見地から考えたり、多様な意見を落ち着いて議論したりする姿勢には欠けるように思える。

むしろ彼らは個別の問題に対して分かりやすくまた近視眼的な対案を提示する。それは、対症療法的な手段で、その場しのぎ的ですらある。

ポピュリストたちは、その時代にくすぶる人々の不満を栄養にして肥大する。人々を代弁して現状を変えるために働くと声高に主張するが、実はそうはならない。

個別課題に時々の対症療法で対応すれば、一時的には人々の溜飲を下げることにはなるものの、遅かれ早かれその視野に入っていなかった矛盾が噴出することは、今年1月にトランプ大統領の大統領令によって行われた、一部のイスラム教徒が多く住む国の人々の入国禁止令を見れば明らかだろう。

今月号では、独裁色を強めて分断で統治しようとするポピュリズムが引き起こす状況を乗り越えていくために、この政治的な流れの見方、考え方、行動の仕方を考えてみる。

2017年4月号 No.501
Populism rises again(ポピュリズムの再来)






  1. 2017/04/15(土) 23:42:00|
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