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【翻訳記事】「歓迎されるのは遺伝子組み換え支持者だけ ― 国連食糧農業機関の企業フェスタ」

今年2月、国連食糧農業機関(FAO)は、バイオテクノロジーに関する会議をひっそりと開催した。メディアは注目しなかったが、「持続可能な食料システムと栄養における農業バイオテクノロジーの役割」と題したシンポジウムは、100を超える市民団体から非難を浴びた。(1)

その理由は、食料の将来に関して企業が進めるインチキな対応策(農業に関する西洋的な開発観念によってすでに汚染されていた)を支持する方策と見られたからだ。対応策では、気候変動に強い作物、収量が多く栄養価が高い改善された食料といったものが、マジョリティー・ワールド[訳注:世界の過半数の人々が暮らす開発途上国]にとってのバイオテクノロジーのバラ色の未来として示されている。

しかし、これに賛成する人々が目を向けていないことがある。それは、バイオテクノロジー作物が、企業合併で一層の権力集中を進める一握りの多国籍企業によって完全に支配されているということだ。企業が進めるのは、世界の小規模農家の現実にとっては持続不可能な農業の産業化と大量の殺虫剤の使用を必須とするモデルである。またこれは、単一作物栽培によって最終的には生物多様性を増加させるのではなくむしろ減少させてしまう。

ビル・ゲイツ[訳注:マイクロソフト社の共同創設者]の財団は、遺伝子組み換え作物研究への世界最大の資金提供者で、南の国々の農業に対しては世界で5番目の資金提供者である。そして彼のようなフィランソロキャピタリスト[訳注:これは、社会奉仕活動や慈善事業を熱心に行う篤志家を意味するphilanthropistと、資本主義者を意味すするcapitalistとを組み合わせた造語である]は、上述したような企業による「解決策」を好む。(2) では、FAOはどうか?

すでにFAOの本心はあらわになっていた。前回2010年にFAOがメキシコで開催したバイオテクノロジーの会議では、FAOは農民たちの組織委員会加入を妨げ、会議に参加させないようにしようと動いてさえいたのだ。

今回の会議では、遺伝子組み換え生物に批判的な参加者は、パネルディスカッションのゲストとして招聘された1人だけだった。主要講演者2人のうち1人は、物議をかもしているターミネーター種子(このタネから育った作物から採れたタネは収穫時には死んだ状態となるよう操作されているため、農民は毎年タネを購入しなければならない)の熱烈な支持者である。

地元コミュニティーが運営管理する食料システムを支援する団体GRAINのヘンク・ホブリンクは、FAOは優先順位を正しく修正する必要があると考えている。「FAOは、なぜ自らの対応を企業のバイオテクノロジーだけに限定し、小規模農民たちの技術の存在を否定するのでしょうか?」と彼は問いかける。「FAOは、企業にバイオテクノロジーによる対策を推進させるよりも、世界に十分な食料を配分するとともに地球を冷やすための方法として、農業生態系と食料主権を追求するべきです」◆

ディンヤール・ゴドレイ

(1) JOINT SIGN-ON STATEMENT, FAO Symposium on Biotechnology: The biotechnology industry runs the show (PDF)
(2) Global Justice Now, Gated Development, January 2016(PDF)



※2016年5月号NI492p18「Only GM-friendly guests welcome at FAO's corporate-fest」の翻訳です。c492-100.jpg

  1. 2016/05/30(月) 01:27:36|
  2. 健康・食・農業