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【翻訳記事】支援まで2クリック


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なぜわざわざ国際協力団体を経由して援助をするのか? 「良いことを実践」するのに必要なのは、電話とグーグルマップだけだ。エイミー・ホールが、ブームになってきた「ダイレクト・ギビング」について詳しく調べた。


ゾランは、親しみやすい印象の45歳。2人の子どもを持つ父親で、コソボに住む。彼と妻の本業収入を補うため、市場で売る野菜も栽培している。そして、温室に注水システムを設置するための費用1,700ドルを集めようとしているところだ。もしあなたから25ドル借りられれば、彼らはだいぶ助かるだろう。

ゾランは、Kivaウェブサイトから数クリックで融資できる世界5,600を超える人々やグループのうちのひとりである。

貸手は、融資先と融資額を決める。現地で融資の実務を担当するのは、小口融資機関(MFIs)あるいはNPOなどの現地パートナーだ。借主が返済した際には、貸手のKiva口座に資金が戻される。その資金は、再度融資に使うか、寄付をするか、あるいは引き出すこともできる。これまでKivaを通じて約1,220万ドルあまりが150万人近くに融資された。

助けを必要としている人々にこのような「直接的」アプローチをとるのはKiva、Zidisha、Dekiといった小口融資(マイクロファイナンス)のプラットフォームだけではない。そのほかにもGiveDirectlyを使えば、支援対象者に直接支援金を送ることができる。

GiveDirectlyは、公開された利用可能な情報をもとに極度の貧困状態にあるコミュニティーを探す仕組みである。そして、地域ごとにさまざまに設定された基準(例えば、住んでいる家の屋根は草ぶきか、より耐久性のある材質か、等々)によって対象となる世帯を選び出す。支給対象となるかどうか調査が行われ、GPSでの位置情報や衛星画像を使ったデータ検証も行われる。対象世帯には、携帯電話の電子決済システムを通じて約1,000ドルが振り込まれ、入金連絡は携帯のショートメッセージサービス(SMS)に届く。連絡を受信したら、地域のモバイル・マネー代理店に現金を受け取りに行く。

このような団体は、これまでのようなNGOを飛び越えて貧困層に直接資金を送る機会を提供する。

 チャイルドスポンサー制度のようなもの?

「人々は支援活動に飽き飽きしてきています」。こう言うのは、国際開発と持続可能性のコンサルタント、デボラ・ドーンだ。「人々は20年にわたり毎月口座引落で支援を行ってきたはずなのに、まだ同じ問題が残っています」

英国ブリストル在住の27歳、デービット・ニコラスは、Kivaと同様の仕組みを持つDekiを通じて約6年間融資を行ってきた。これは現在、彼が支援事業を支援する場合の主な方法となっている。「私のお金の行き先が分かるやり方の方がいいですね」、と彼は語った。

これはニコラスだけではない。英国の世論調査YouGovによれば、支援セクターに信頼を取り戻すために必要なこととして、78%の人々が支援事業の資金の使途をより一層透明化すること、と答えた。

「大きな支援団体に毎月寄付をしても、それがどのくらいの効果を生んでいるものなのか正確には分かりません」とデボラは言う。「NGOが役に立つような活動をしていないと言うのではありません。数値的に示すことが難しい活動内容もあるからなのです」

しかし、誰もNGOを見放したわけではない。PR企業による調査「2016エデルマン・トラストバロメーター」では、国際金融危機以来NGOへの信頼は世界的にも最高レベルにある。

国際協力NGOのオックスファムは、自身のダイレクト・ギビングのプラットフォームである「プロジェクト・ダイレクト」で、この“二者間”のやり方を手本とした。プロジェクト・ダイレクトでは、コミュニティーを基本としたプロジェクトの寄付先一覧が設けられ、定期的に状況が更新される。

マーケティングという点では、直接寄付と直接融資の仕組みはチャイルドスポンサー制度と非常によく似ている。このチャイルドスポンサー制度というモデルは、父権的温情主義の立場からの干渉主義を広め、子どもの選別をし、支援者の誤解を招き、貧困と不平等の根本原因から目をそらすことになるといった点から、1980年代と90年代にNew Internationalistが厳しく批判した。

ヒューマンズフォーの創設者であるアシュレイ・エルドマンは言う。「ファンドレイザー(資金調達者)として、『グローバル金融システムの隠された問題に対して取り組みませんか?』と呼びかけるのは厳しいです。手を挙げる人がいるでしょうか?」。ヒューマンズフォーは、個人の資金提供者と協力し、彼らが権力と不平等の問題に取り組む方法見つけられるように支援をする団体だ。

インターネットは、寄付と融資に個人的な結びつきと見かけ上の「民主化」をもたらした。そして普及も。平均してオンライン寄付は、英国だけでも2010年から14年までで20%増加した。

しかし問題はある。例えばKivaは、言われているほど「直接的」ではないのではないかと批判されている。融資は通常、現地の小口融資パートナーを介して支払われるが、実際には貸手からの融資が集まる前に支払いが行われる。より大きな議論となっている問題は、仲介者として介在するMFIsの多くが利子をとっていることだ。その中には「高利貸」と呼ばれるようなMFIsもあり、Kivaからの融資金利は0%にもかかわらず、借主に20%を超える金利を求める。

仲介者やMFIsのコストは、貧困にあえぐ借主ではなく貸手が負担すべきではないかという議論がある。Kivaはこの問題について、借主が地域で利用するいかなる融資と比べても、利率はまだましだと主張する。

GiveDirectlyに関しては、支援金を受ける人と受けない人が出るため、対象の絞り込みに関してとコミュニティー内での緊張を作り出してしまう可能性について疑問が出ている。

また、ダイレクト・ギビングに必要な携帯電話は誰が所有できるのかという点への疑問もある。携帯電話の所有者は、女性よりも男性である可能性の方が高い。GiveDirectlyはこの点について、借主が必要なのはSIMカードであり、このSIMカードは支給されるので障害にはならないと言う。そして借主は、GiveDirectlyからいつでも携帯電話を購入することができるとのことだ。その費用に関しては、支援金から差し引かれる。

 「自分自身の選択」

英国のNGOワー・オン・ウォントの資金調達&コミュニケーション部門の責任者アディナ・クレアは、支援を必要としている人々を探すためにどのようなデータが使われているのかについて懸念を抱く。「どんなデータを使っているのでしょうか? データが入手できずその存在が分からないコミュニティーに関してはどうするのでしょうか? そのようなコミュニティーが、本当に貧しいコミュニティーなのですが」と彼女は言う。

またGiveDirectlyは、不正行為の問題も抱えている。援助監視グループのギブウェルによれば、2014年にGiveDirectlyの現地スタッフ2人がモバイル・マネー代理店らと共謀し、2万500ドルを盗んだ。GiveDirectlyはそれ以来、この事件で判明した弱点に取り組む対策を行った。

別の小口融資プラットフォームZidishaの創設者ジュリア・クルニアは、支援金を送ることは「施し」にすぎないと主張する。彼女は、情報サイトのハフィントンポストの記事において、小口融資は商取引でありその成功は「自分自身の選択の結果」である、と主張した。

ドーンはこれに異議を唱える。「私たちは援助について、社会福祉的な社会的便益としてもっと意識する必要があります。あなたがそれを提供し、人々は自身の暮らしと支援されたもので行うことに関して理にかなった生活と行動を求められます。それでうまくいく人もいればそうでない人もいるでしょう」

GiveDirectlyは、ベーシック・インカム実験によってこれをさらに一歩先へ進めようとしている。計画では、少なくとも6,000人のケニア人に生活の基本的ニーズを十分まかなえる額を10~15年の間支給し、その影響を検証することになっている。

これまで見てきたようなプラットフォームは、テクノロジーとチャリティー(慈善事業)活動が交差する例のほんの一部である。2014年、慈善活動に関するニュースサイト、クロニクル・オブ・フィランソロピーが米国の寄付額上位者のリストを作成したが、50人のうち12人がテクノロジー産業関係者だった。しかし「フィランソロピー(慈善事業)型資本主義」の下では、営利活動と非営利活動の境界線はあいまいになっている。

例えばeBayの創業者ピエール・オミダイアは、営利と非営利の両方の事業を対象に投資を行うオミダイア・ネットワークを立ち上げ、2010年にはKivaに500万ドルの助成金を与えた。

ダイレクト・ギビングの各団体には、テクノロジー業界の巨人たちとの緊密な関係が見られる。KivaとGiveDirectlyは、どちらもグーグルのグローバル・インパクト・アワードから恩恵を受けた。2013年にはKivaが300万ドル、2014年にはGiveDirectly が240万ドルの助成金を受け取った。また、グーグルのスタッフが理事に名を連ねている。

そしてGiveDirectlyは、フェイスブックの共同創業者であるダスティン・モスコビッツと妻のカリ・ツナが創設した財団グッド・ベンチャーから250万ドルを受け取っている。

さて、お金があって何かしたいという人は、その使途をどのように決めればよいのだろうか?

「政府と国際的な組織の政策と権力を分析し、それらに挑戦している団体を探そう」と答えるのはエルドマンだ。

「結びつきができることは良いことで、友好を感じます。しかし、効果はどうでしょうか?」と問うのはクレアだ。「開発援助はオンラインショッピングとは違うのです」

by エイミー・ホール
フリーランスのジャーナリストで、これまでたびたびNew Internationalistに寄稿している。


2016年7/8月合併号NI494p23-24「Helping in two clicks」の翻訳です。c494-100.jpg



  1. 2016/09/09(金) 22:47:33|
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