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【翻訳記事】クリスマスプレゼントと世界の工場とスウェトショップ(搾取労働)


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2014年7月にサンフランシスコで行われたアップルに対する抗議デモ。プラカードには「DeathPad(死のパッド)」や「中国からサンフランシスコ湾まで、きちんとした仕事をすべての人に」といった訴えが書かれている。
Annette BernhardtCC BY-SA 2.0


クリスマスプレゼントを昼夜働いて作っているのは、サンタクロースの小さな妖精たちではない。それは、わずかな賃金で働く中国人労働者たちだ。アモーグ・ウカエフが報告する。

クリスマスのテレビCM。それは、電子機器、衣類、おもちゃなどの商品を買いたくなるよう視聴者の購買意欲をそそる。

クリスマスには3つの特徴がある。広告と商業主義、買い物と消費、そして西側経済へのより多くのカネの流入だ。2015年、英国の小売業界のクリスマスシーズンの売上は、240億ポンド(約300億ドル)を超えた。これは、ネパールやホンジュラスの国内総生産(GDP)を上回る。この熱狂的な消費は、私たちの購買意欲を増進する広告、マスコミ、ソーシャルメディアの影響だ。

米国では、「ブラックフライデー」や「サイバーマンデー」といった特別なセールの日が作られている。現在それはヨーロッパにも広がった。クリスマス前とクリスマスから新年にかけては、1年でも最も消費が高まる時期になっている。

昨年のセールの週末には、英国人は33億ポンド(41億6,000万ドル)の買い物をした。多くの人々がオンラインショッピングを利用し、サイバーマンデーには、9億6,800万ポンドという途方もない金額が使われた。そして小売業大手(Argos、Tesco、John Lewis)のウェブサイトは、容量を超えてダウンしてしまった。また運輸会社は、オンライン注文された品物の配達を、全部は受け付けられなかった。

 現実世界の妖精たち

サンタクロースの工房で楽しそうに働く小さな妖精たちを思い浮かべてみる。そのイメージは、工場で働く労働者の状況とかけ離れている。世界のおもちゃの80%は中国で作られており、一般に普及しているおもちゃのほとんど全部に「中国製」と記されている。西側諸国の街中でクリスマスソングが流れるずっと前から、その「小さな妖精たち」(彼らは現実世界の中国人労働者だ)は、たくさんの商品を作るために日夜働いている。

中国の玩具工場は、年間28億ポンド(35億3,000万ドル)の玩具を英国に販売している。しかし大手ブランド(例えばレゴやディズニーなど)は、英国内の小売価格に比べるとわずかな代金を工場に支払っているにすぎない。また、おもちゃの価格には、社会的、環境的なコストは含まれておらず、この状況は搾取である。

しかしスウェットショップ[訳注:低賃金、劣悪な労働環境・条件で労働者を働かせて搾取する職場や労働のこと]はおもちゃだけではない。電子機器や衣類でも同様だ。多くの人々がアップル、アマゾン、サムスンのガジェット[訳注:興味をそそられる小型電子機器]を欲しがる。しかしこれらの企業は、ナイキやトップショップ[訳注:英国のファストファッション企業]といった他の有名ブランド同様に、労働者の権利を(サプライチェーン[訳注:製品の原材料からそれが消費者に届くまでの一連の過程]のどこかで)ないがしろにしている。サムスンは、労働者に有毒な化学物質を使用させたり、労働組合を結成しない契約をアジアでは結んでいたとして非難を浴びていた。アップルは、自殺者を出すほどの厳しい職場や労働環境に対して非難を浴びていた。バッテリーを内蔵する機器の50%以上が、コンゴ民主共和国の「紛争鉱物」(コルタン等の鉱物は紛争の資金源となっている)を使用している。

労働者の扱いはひどいものだ。危険な職場環境の中、超低賃金で長時間働かされ、言葉だけでなくしばしば身体的、性的な暴力も受け、基本的人権が守られていない。

世界の多数の工場労働者は、クリスマス商戦に十分な商品を供給できるよう、非常に辛くうんざりするような毎日を送っているのだ。

 行動しよう

クリスマスの時期にもっと買い物をすることは、スウェットショップ労働者を増やすことになる。しかし、購入者に責任を負わせることは誤りだ。そのような商品を購入する多くの人々は、長年給与が上がっていないのかもしれず、金銭的な余裕がなく、安い商品を選ばざるを得ないのだ。Fairphone[訳注:紛争資源を使用せず、スウェトショップでない工場で生産したスマートフォン。また、それを開発、販売しているオランダの社会的企業の名称。]のような商品は高価で、ノートPCでもデスクトップPCでも、パソコンでは「フェア(公正)」な選択肢は存在しない。

スウェトショップは、工場で働く女性により力を与えると言う人もいる。あるいは、貧しい人々に賃金を与えるこができると言う人もいる。しかし場所によっては、スウェトショップでの労働は奴隷労働のようなものなのだ。もしそこに搾取があるのであれば、そこから利益を上げるのは間違っている。

しかし、もし私たちが「地元製を買う」だけにしたら、南の国々の労働者を支援することはできないだろう。多くの労働者たちがスウェトショップで働くのは、他に収入を得る選択肢がないからである。

この問題に取り組む最善の方法のひとつは、労働者を組合に加入させることだ。そうすれば、彼らはより良い賃金と労働環境を求めて闘うことができる。そんなことをすれば工場はつぶれてしまうと言う人がいるが、それは真実ではない。

バングラデシュが好例だ。バングラデシュでは、2013年のラナプラザビルの崩壊で1,000人以上の労働者が死亡したが、その後20カ国以上の多くの衣料品企業(例えばアディダスやプライマーク[訳注:英国のファストファッション企業])が「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関する協定」に署名した。この協定に基づき、現在は1,592の工場が立ち入り検査を受けている。

バングラデシュの最低賃金は、依然として世界最低であるが、それも1カ月38ドルから68ドルに大幅に上昇した。その理由は、抗議活動と労働者が不満を訴えたからだった。

このように、バングラデシュの工場は現在もつぶれずに稼働している。世界では現在、もっと多くの労働者が、より良い賃金と条件のために闘い、仕事を失うか、または警察から弾圧されるかというリスクを負っている。

だが、搾取労働は依然として存在する。私たちは連帯を示す必要がある。1911年、トライアングル・シャツウエスト工場で火災が起こった。このニューヨーク市の工場火災では146人の労働者が死亡した(ニューヨークと米国の労働者は、この火災の後に基本的な権利と保護を手に入れた)。それから100年たつが、私たちは依然として南の国々の人々への同じ基本的な権利と保護を求めて闘っており、このような状況は受け入れがたい。

搾取労働を違法とする法律は現在効果的ではなく、無視されてしまうことも多々ある。労働者の権利の獲得を保証するための政策と法律は不十分で、政府は世界人権宣言を具現化する努力を怠っている。それは、工場を持つ国の政府、製品を買う国の政府どちらもである。従って、この問題に関しては政府にも企業にも責任がある。グローバルな義務は、世界で最もぜい弱な人々の人権の擁護に失敗している。

搾取労働をなくすことは難しいが、それは可能だ。私たちに必要なのは、世界そして各国においても、労働者、企業、政府、消費者などすべての段階で変化を求めることだ。

私たちがMaquila Solidarity Network、Worker Rights Consortium、Electronics Watch、SweatFree Communitiesなどの団体を支援すれば、その団体は、私たちのクリスマスプレゼントが確実にスウェトショップ製でなくなるよう闘っている人々を支援できる。

by アモーグ・ウカエフ

The dark side of Christmas: sweatshops By Amoge Ukaegbuのシンプル英語版(Easier English)の翻訳です

※シンプル英語版はシンプルな英文にするために、単語、文章構造、引用が変更されている場合があります。シンプル英語版の翻訳と英文で概要をつかんだら、今度はオリジナルの英文を読んでみましょう。


  1. 2016/12/23(金) 20:54:56|
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