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【翻訳記事】黒人アメフト選手の抗議方法

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コリン・キャパニック
tomCC BY-SA 2.0


ひとりの抗議活動がいかにして米国中に影響を与えたのか、マーク・エングラーが解説する。

サンフランシスコ49ersは、米国のアメリカンフットボールチームである。その選手のひとりコリン・キャパニックが、2016年8月26日のグリーンベイ・パッカーズとの試合の直前、有名な決定を行った。彼は国歌斉唱の際、立ち上がらずにひざをついたままの姿勢でいたのである。

キャパニックはその姿勢について、人種差別とアフリカ系米国人に警察が行う野蛮な行為に対する抗議だ、と説明した。彼は、「私にとってみれば、それはアメフトよりも深刻なことです。それに目をつむることは、私にとって過ちになると思います。街中には死体が転がり、殺人者がおとがめなしで大手を降って歩いているのです」と述べた。

しかし中にはキャパニックは愛国心がないと考える人もいる。9.11以来、試合前の国歌斉唱は、愛国心を誇示する行為となっている。そして米国国防総省は、この行為を支えるために、プロスポーツチームに多額の寄付を行ってきた。

もちろん、抗議の方法が間違っているとの批判は常に多数ある。リベラルな人々の中にも、キャパニックは敬意を払っていないと言う人もいる。

しかしキャパニックは、他の試合の前にもひざをつき、彼の主張ははっきりしていた。ニューヨーク・タイムズ紙の記者は次のように書いた。「アメフトの試合を見たことがない人、あるいは国歌を聴いたことがない人、または米国の人種関係について全く知らない人でも、キャパニックの抗議の写真を見せればそれが何であるかを理解するだろう」

そして重要なのは、他の人々がその抗議方法をまねできるということだ。

キャパニックが、最も嫌われた米国のスポーツ選手の仲間入りをしたと思われたころ、ある興味深い現象が起こった。サンフランシスコ49ersの別の選手エリック・リードが同じ行動をとったのだ。彼は言った。「私は彼に知って欲しかったのです。彼と同じように感じているのが彼だけではないということを」

そのほかのアメフト選手も同様の行動をとった。マイアミドルフィンズのアリアン・フォスターは、たくさんのチームメイトに抗議を呼びかけた。カンザスシティ・チーフスのマーカス・ピータースは国歌斉唱の際、1968年のオリンピックの際のブラックパワー・サリュート[訳注:メキシコ五輪の陸上競技の表彰台に立った2人の黒人選手が人種差別に抗議するため、国歌斉唱の間、黒い手袋をした拳を突き上げていた行為のこと]のように、拳を突き上げた。

9月中旬までには、多数の抗議が異なるスポーツでも行われた。女子サッカーのスター、ミーガン・ラピノー(彼女は白人)は、抗議のためにひざをついた。彼女は言う。「私たちの国の問題に関して、有色人種の人々だけでなく、皆で抗議する必要があります」。女性バスケットボールのチーム、インディアナ・フィーバーでは、試合前に全員がひざをついた。

高校のスポーツチームも同様だった。オークランドでは、学校の吹奏楽部が国歌を演奏する時にひざをついた。プロバスケットボールチームのサクラメント・キングスの試合では、国歌を歌う歌手がひざをついた。そしてファンさえもが同じ動作をした。

ニューヨーク・タイムズ紙は、2カ月間に多数のキャパニックが全国でひざをついたと報道した。多くの保守的なアメフトファンはキャパニックに賛同していない。しかし、キャパニックの背番号7番のユニフォームの売り上げは増加した。

社会運動においては、どのような抗議方法が最適なのかということをめぐり、常に議論が起こっている。抗議する人々は、役立つ方法と役立たない方法について話す権利を持っている。

しかし、他人の抗議を批判するだけで自分で何もしないのは、好ましいことではない。キャパニックの例にならった多くの人々は、適切な行動を起こした。あちこちでたくさんのキャパニックが、ひざをついている。

by マーク・エングラー
最近“This Is An Uprising: How Nonviolent Revolt Is Shaping the Twenty-first Century” (Nation Books)が出版された。ウェブサイトはDemocracyUprising.com

この記事は、An American footballer makes a protestのシンプル英語版(Easier English)の翻訳です。

※シンプル英語版はシンプルな英文にするために、単語、文章構造、引用が変更されている場合があります。シンプル英語版の翻訳と英文で概要をつかんだら、今度はオリジナルの英文を読んでみましょう。

参考:こちらのNew York Daily News紙のサイトでは、抗議の姿勢をとる選手たちの写真が掲載されています。
Athletes standing up against social injustice during the National Anthem



  1. 2016/12/27(火) 20:56:34|
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