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【翻訳記事】民主主義への障害(ビルマ)


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2016年9月にニューヨークで開かれたアジア・ソサエティーの講演会でのアウン・サン・スー・チー。
(写真と記事は直接は関係ありません)
Ellen Wallop/Asia Society  (CC BY-NC-ND 2.0)


アウン・サン・スー・チーの国民民主連盟(NLD)が、50年に及ぶ軍事政権の後に政権に就いてから、今月で1年になる。軍の後押しを受けた政権が2011年に始めた改革以来、報道の自由を含む基本的な人権の状況が向上したことに疑いはない。しかし、報道の自由を阻む深刻な困難はいまだに存在している。ジャーナリズムの自己検閲、NLDの統治経験不足、そして相変わらずの政治に対する軍の影響力は、報道機関の役割である監視の実践の妨げとなっている。

数十年にもわたる弾圧に耐えたこともあり、NLD政権に対する国民の目はいまだに厳しくはなっていない。だが、「貴婦人」として知られるアウン・サン・スー・チーに対する人々の信奉は、報道機関に負の影響を及ぼしている。「新政権に対してはどんな批判でも大きな反発を招きます」と語るのは、『ザ・ボイス』紙の編集者であるキュン・ミン・スウェだ。「こんな状況にあるため、報道機関が政府の説明責任を追求することが困難になっています。自己検閲が大きな問題です」

民間の報道機関が政府への説明を追求することを怠り、それが国営テレビの政府寄りプロパガンダと相乗効果をもたらしている。国際ペンクラブの理事会メンバーであるマ・チダは次のように説明する。「政府は、国営メディアの民営化をまだ行っていません。国営テレビは、政府のプロパガンダの手段として引き続き利用されています」

政府の透明性が不十分なことも、説明責任の障害となっている。メディア向けの研修を実施するアウン・ナインは、「NLDは、政府というよりもいまだに野党のように振る舞っています」と述べる。多くのジャーナリストが、政府は信頼するわずかな人々や組織だけに情報を流している、と不満を漏らす。記者会見はめったに開かれず、NLDの閣僚たちがメディア対応について頼りにするのは、前政権に任命された官僚たちである。官僚が情報開示に積極的でなく、情報公開を保証する法律が整備されていないこともあり、ジャーナリストが公的な情報源にアクセスすることが制限されている。

正式には権力は移行されているにもかかわらず、軍は依然としてかなりの政治的影響力を及ぼしている。軍は3名の閣僚を指名し、その中には影響力のある内務大臣、国境担当大臣といったポストも含まれる。治安の監視は、ジャーナリストの民族紛争地域への訪問を拒み、軍関係者がビルマの厳格なメディア法を行使して批判者を追い詰めることを可能にしている。10月にコ・ラ・フォンは、画像ソフトで加工したミン・アウン・フライン国軍司令官の画像をFacebookに投稿した容疑で起訴された。メディア委員会のメンバーであるキャウ・ミイントは、「NLD政権は、軍が草案を作成したメディア法を置き換えることを優先課題にしませんでした。そして実際には、NLDの政治家たち自身がこの法律を使い、インターネット上の活動家たちを名誉棄損で訴えたのです」と語った。

そのおとなしい対応にもかかわらずビルマのジャーナリストたちは、将来について楽観的だ。「ヨーロッパにおける民主主義の構築には数百年かかりました。私たちはすでにかなりの道のりを歩んできています」とアウン・ナインは言う。そこにたどり着くのは次の世代でのことになるかもしれない。とはいえビルマは、ようやく報道の自由への道を進んでいる。◆

by ティナ・バレット


2017年3月号NI500p8 Progress, interrupted(Burma) の翻訳です。c500-100.jpg



  1. 2017/03/30(木) 00:47:00|
  2. 政治・国際関係