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【翻訳記事】紙幣廃止で消えたお金と希望(インド)


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廃止された500ルピーと1000ルピーの旧紙幣


掘っ立て小屋のような家の中で、ラムザニは決断を迫られていた。それは、2人の子どものうち、養っていける1人を決めるという決断だ。彼女の夫はインドのマハラシュトラ州ビワンディの繊維工場で働いていたが仕事を失い、彼女の手持ちのカネも底をついた。そして今、普通の親が決めるべきでない選択を迫られている。

インドではナレンドラ・モディ首相が、腐敗、テロへの資金供給、偽札の取り締まり強化を目的とした旧高額紙幣の廃止を告知してから5カ月がたち、組合組織のない分野で働くスラムに住む労働者の窮状、特に女性たちの状況は急速に悪化している。

インドの労働市場では、インフォーマルな雇用と現金経済がほとんどを占める。労働者の90%以上(4億人あまり)はインフォーマル・セクターで働くが、その多くは銀行に貯金せずに家に現金を保管している。昨年11月、彼らは突然500ルピーや1,000ルピーの札を使えなくなった。この紙幣廃止前、流通する全紙幣の合計額の80%以上をこの2種類の紙幣が占めていた。

ラムザニのように家計を任されている女性たちは、日々の生活に行き詰まった。彼女はこう説明した。「繊維工場が閉鎖された後、夫は街角で紅茶を出す屋台の仕事を見つけました。彼は1日100から200ルピー[1.5~3ドル]稼いでいました。でも最近は、みんなお茶を飲むお金さえなく、屋台のオーナーはその屋台をたたんでしまったのです」

多くの人々が、栄養不足の子どもたちの学費を支払ったり、病気にかかっている家族の薬を買うことができなくなっている。中流層は銀行のデビットカードで現金なしで乗り切っているが、社会の最貧層にいる人々は銀行口座さえ持っておらず、この紙幣廃止は人々に絶望をもたらしている。◆

by ディルナズ・ボガ


2017年4月号NI501p6 No cash, little hope (India) の翻訳です。




  1. 2017/04/24(月) 23:02:00|
  2. 貧困・格差